内窓の設置を考え始めると、単板や複層、Low-E、防音、真空ガラスなど種類が多く、どれを選べばいいのか迷う方は少なくありません。
冬の寒さや結露、夏の日差し、外の騒音、視線など、窓に感じる悩みは人によってさまざまです。
実は内窓のガラスは、既存の窓との組み合わせや設置する部屋によっても向き不向きが変わります。
この記事では、目的別のガラスの選び方から窓の条件、費用や補助金の考え方まで、後悔しないためのポイントをわかりやすく解説していきます。
- 内窓のガラスは種類ごとに得意な役割が違い、悩みから選ぶと絞り込みやすいこと
- ガラスの性能だけでなく、既存窓との組み合わせや窓の設置条件も確認が必要なこと
- 費用の内訳や2026年度補助金(登録事業者での施工が必須)の申請条件
内窓のガラス選びで最初に知っておきたいこと

内窓は、既存窓の室内側にもう一つ窓を設けるリフォームです。
ガラスの種類だけで判断せず、既存窓との空気層、枠、施工状態も含めて考える必要があります。
まずは仕組みと困りごとを整理しましょう。
内窓は既存窓との間にできる空気層とガラスの組み合わせで効果を発揮する
内窓を設置すると、既存窓との間に空気層ができます。
この空気層に内窓の枠やガラスを組み合わせることで、外気の影響や音が室内へ伝わりにくくなる仕組みです。
内窓と複層ガラスは同じものではありません。
内窓は窓を追加する方法であり、複層ガラスは2枚のガラスの間に中空層を設けたガラスの仕様です。
断熱や防音を考える際は、内窓側だけでなく、既存窓のガラス・サッシ・気密性も確認しましょう。
解決したい悩みの優先順位を決めてから選ぶ
内窓のガラスは、特に困っていることから選ぶと判断しやすくなります。
冬の冷えには断熱性、強い日差しには遮熱性、騒音にはガラス構成や気密性、防犯には認定を含む窓全体の仕様が関わります。
すべての窓を同じ仕様にそろえる必要はありません。
寝室は騒音、脱衣所は視線と結露、リビングは日射熱など、部屋ごとに悩みを分けて考えると、必要な性能と予算の配分を決めやすくなります。
ポイント
すべての窓に同じ仕様を選ぶ必要はありません。まずは「どの窓の、どんな悩みを解決したいか」を1つずつ整理するところから始めましょう。
内窓で選べるガラスの種類と特徴

内窓製品で選べるガラスには、単板、複層、Low-E複層、合わせガラス、真空ガラス、遮視用ガラスなどがあります。
構造と得意な役割は異なるため、名称や価格だけでなく、設置する窓で選べる仕様かも確認が必要です。
| ガラスの種類 | 主に検討する目的 | 選ぶ際の確認点 |
|---|---|---|
| 単板ガラス | 基本的な内窓化 | 厚みと既存窓との組み合わせ |
| 一般複層ガラス | 断熱性 | 中空層や対応する窓種 |
| Low-E複層ガラス | 断熱・日射熱対策 | 断熱タイプと遮熱タイプ |
| 防音用の合わせガラス | 騒音対策 | 音源、既存窓、壁や換気口 |
| 真空ガラス | 高断熱仕様の検討 | 内窓への採用可否、重量、費用 |
| 型・和紙調ガラス | 視線対策 | 昼夜の見え方と採光 |
単板ガラス
単板ガラスは、1枚のガラスで構成された基本的な仕様です。
ガラス自体には中空層がありませんが、内窓として設置すれば既存窓との間に空気層が生まれます。
そのため、単板ガラスの内窓でも、窓を1枚だけ使う状態とは異なる構成になります。
ただし、ガラスの厚みや選べる窓種は製品ごとに異なります。
断熱、防音、防犯のどれを重視するかを施工店へ伝え、既存窓を含めた組み合わせで検討することが必要です。
一般複層ガラス
一般複層ガラスは、2枚のガラスの間に中空層を設けたガラスです。
単板ガラスと比べて断熱性を高めやすく、寒さ対策の候補になります。
Low-E複層ガラスとは別の仕様なので、日射対策も重視する場合は膜の有無まで確認します。
中空層の厚みや封入するガス、ガラスの構成によって性能は変わります。
また、複層ガラスなら防音にも一律で有利とは限りません。
音の種類や厚み、内窓と既存窓の空気層を含めて選ぶことが大切です。
Low-E複層ガラス
Low-E複層ガラスは、熱の移動を抑えるLow-E膜を使った複層ガラスです。
室内の暖かさを逃がしにくくする断熱タイプと、日射熱を抑えやすい遮熱タイプがあり、窓の方位や部屋の使い方によって選び分けます。
方位や日射条件に合わせた仕様の考え方は、遮熱・断熱タイプのLow-Eガラスの選び分けでも詳しく解説しています。
冬に日差しを取り入れたい窓では、遮熱タイプを選ぶと日射取得も抑える場合があります。
YKK APのガラスに関する案内も確認し、採用する製品の仕様を比較しましょう。
防音合わせガラス
防音用の合わせガラスは、複数のガラスの間に防音向けの中間膜を挟んだ製品や仕様です。
交通音や人の声などが気になる場合は、内窓による空気層と組み合わせる候補になります。
ただし、実際の遮音性能はガラスだけでは決まりません。
既存窓の状態、内窓の気密性、音の周波数、壁や換気口から回り込む音も影響します。
車、電車、工事、楽器など、気になる音の種類と時間帯を施工店に伝え、内窓で選べる製品かを確認したうえで、窓全体の構成を検討しましょう。
真空ガラス
真空ガラスには、真空層とLow-E膜を用いて熱の伝わりを抑える製品があります。
日本板硝子のスペーシアは、同社の比較条件では単板ガラスの約4倍、同社の一般複層ガラスの約2倍の断熱性能を示しています。
ただし、これは特定製品のメーカー公表値です。
真空ガラスは既存サッシのガラス交換向けとして扱われることもあります。
内窓に採用できるとは限らないため、対応製品、サイズ、重量、窓種を確認して判断しましょう。
型ガラス・和紙調ガラスなどの視線を遮るガラス
型ガラスや和紙調ガラスなどは、光を取り入れながら外からの視線を遮りやすい仕様です。
通り沿いの窓、隣家に近い窓、脱衣所、寝室などで検討できます。
一方で、視線を遮る性能は、防犯性や断熱性とは別の性能です。
型ガラスを選んだからといって、防犯性能が高まるとは限りません。
昼と夜では室内外の明るさが変わり、見え方も変化します。
採光や眺望との兼ね合いを考え、サンプルで確認したうえで選びましょう。
【目的別】内窓のガラスの選び方

内窓のガラスは、寒さ、日射熱、騒音、防犯、視線のどれを優先するかで選び方が変わります。
窓ごとの困りごとと生活環境を分けて考えることで、必要以上の仕様を避けながら、目的に合う候補を絞り込めます。
| 気になること | 検討する方向性 | 併せて確認すること |
|---|---|---|
| 冬の冷え・結露 | 断熱性を重視した複層ガラス | 室内湿度、換気、窓枠や壁の状態 |
| 夏の暑さ・西日 | 遮熱タイプのLow-E複層ガラス | 方位、庇、冬の日射取得 |
| 騒音 | 防音用の合わせガラスなど | 音源、既存窓、壁や換気口 |
| 防犯・破損時の飛散 | 合わせガラスやCP認定製品 | 枠、鍵、認定の対象範囲 |
| 視線 | 型・乳白・和紙調ガラス | 昼夜の見え方、採光、眺望 |
冬の寒さや結露を軽減したい場合
冬の冷えや結露が気になる窓では、一般複層ガラスやLow-E複層ガラスなど、断熱性を重視した仕様を検討します。
内窓を設けることで既存窓との間に空気層ができ、室内側の表面温度を保ちやすくなる場合があります。
マンションのLDK・キッチンで寒さ・結露対策として内窓を設置した例は、マンションのLDK・キッチンで寒さ・結露対策を行った内窓施工事例で確認できます。
夏の暑さ・西日・紫外線を抑えたい場合
夏の暑さや西日が気になる窓では、遮熱タイプのLow-E複層ガラスが候補です。
日射熱を抑えやすいため、午後に強い日差しが入る部屋などで検討しやすい仕様です。
ただし、遮熱性を高めると、冬に取り込みたい日差しも抑える可能性があります。
方位だけで決めず、窓の大きさ、庇、外付けの日よけ、周辺建物、在室時間も確認しましょう。
マンションのリビングで、夏の暑さ対策として内窓を設置した実例は、マンションのリビングで夏の暑さ対策として内窓を設置した施工事例をご覧ください。
紫外線への配慮も必要な場合は、採用する製品の仕様を個別に確認します。
外からの騒音を減らしたい場合
騒音対策では、内窓による空気層に加え、防音向けの合わせガラスなどを候補にします。
音の侵入を抑えるには、内窓と既存窓の距離、ガラスの構成、隙間の少なさが関わります。
Low-E複層ガラスに変えるだけでは、防音性能は高くなりません。
また、壁、床、天井、換気口から伝わる音が残る場合もあります。
音源が車なのか、電車なのか、人の声なのかを整理し、現地調査時に施工店へ共有すると仕様を検討しやすくなります。
内窓と真空ガラスの違いや、音源ごとに確認したい点は、内窓と真空ガラスの防音効果の違いを参考にしてください。
防犯性や安全性を高めたい場合
防犯を重視する場合は、合わせガラスの種類、CP認定の有無、枠や鍵の仕様を窓全体で確認します。
CP認定は、認定された製品に限られるものであり、一般的な合わせガラスや内窓の二重ロックと同じ意味ではありません。
室内のプライバシーを守りたい場合
外からの視線が気になる場合は、型ガラス、乳白ガラス、和紙調ガラスなどを検討します。
採光を確保しやすい一方で、外の景色は見えにくくなります。
夜間は室内の照明によって見え方が変わるため、夜間を含めて必要な遮視性を満たせるか確認しましょう。
窓の位置や隣家との距離によっては、カーテンやブラインドを併用する方法もあります。
プライバシー、採光、眺望のどれを優先するかを決めてから選びましょう。
ガラスを選ぶ前に確認したい窓の条件

希望するガラスがあっても、すべての窓に同じように取り付けられるとは限りません。
方位、既存窓、室内側の取付面、開閉のしやすさ、マンションの規約を確認し、現地調査で施工可否と仕様を決める流れが基本です。
現地調査を依頼する前に、次の内容を整理しておくと相談が進めやすくなります。
- 窓ごとに困っていることと、気になる時間帯
- 既存窓の写真、サイズ、開閉方法
- カーテン、家具、窓周りにある設備
- マンションの管理規約や細則の有無
窓の方角と部屋の使い方に合わせる
窓の方角は、断熱タイプと遮熱タイプを考える材料の1つです。
南面では冬の日射を取り込みたいか、東西面では強い日差しをどこまで抑えたいかを確認します。
北面では日差しよりも冷えへの配慮が必要になる場合があります。
ただし、方位だけで仕様を決めることはできません。
地域、窓の大きさ、庇、隣の建物、樹木、部屋を使う時間によって日射条件は変わります。
リビング、寝室、子ども部屋など、部屋の役割も合わせて検討しましょう。
既存窓のガラス・サッシとの組み合わせを確認する
内窓の性能は、既存窓との組み合わせで変わります。
既存窓が単板ガラスか複層ガラスか、サッシの状態はどうか、引違い窓や開き窓などの開閉方式は何かを確認しましょう。
防音を重視する場合は、内窓側と既存窓側で異なる厚みのガラスを組み合わせる考え方もあります。
真空ガラスのように重量や対応条件を確認すべき仕様もあります。
内窓側だけを見て決めず、既存窓の写真や寸法を施工店へ共有することが必要です。
設置スペースや窓の開閉に問題がないか確認する
内窓を取り付けるには、室内側の窓枠に必要な取付面が必要です。
カーテンレール、カーテンボックス、家具、外窓のハンドルなどが干渉しないかを確認します。
ふかし枠で対応できる場合もありますが、納まりによっては制約があります。
取り付け後に外窓を開けにくくならないか、換気や掃除がしにくくならないかも確認が必要です。
施工可否は写真だけで決めず、現地調査で判断してもらいましょう。
マンションでは管理規約と共用部分の扱いを確認する
マンションでは、窓に関する扱いが管理規約や細則で定められている場合があります。
内窓は室内側へ設置する工事でも、事前の届け出や管理組合の承認が必要になることがあります。
工事を検討し始めたら、規約、細則、申請方法、工事可能な時間帯を早めに確認しましょう。
賃貸住宅では所有者への確認も必要です。
外窓交換が規約上難しいマンションで内窓を設置した例は、マンションで内窓を設置した施工事例で確認できます。
内窓のガラスにかかる費用と補助金の考え方

内窓の費用は、ガラスの種類だけでは決まりません。
窓の大きさや枚数、枠、ふかし枠などの追加部材、施工条件によって変わります。
補助金も対象製品や建物区分などの条件があるため、見積もりと制度内容を同時に確認しましょう。
| 比較項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 設置する窓 | 場所、サイズ、枚数、開閉方式 |
| ガラス仕様 | 断熱、遮熱、防音、遮視などの目的 |
| 工事内容 | 枠、ふかし枠、追加部材、施工費、諸経費 |
| 補助金 | 対象製品、建物区分、申請条件、補助前後の負担額 |
費用はガラスの種類・窓の大きさ・施工条件で変わる
内窓の見積もりでは、ガラスの仕様に加え、窓のサイズ、枚数、開閉方式、枠、追加部材、施工費、諸経費を確認します。
特に窓枠の奥行きが足りず、ふかし枠が必要になる場合は費用が変わります。
真空ガラスなどのガラス代だけが示されている情報は、内窓一式の価格とは限りません。
複数の見積もりを比べる際は、設置する窓、ガラス仕様、追加工事の範囲をそろえましょう。
内訳が分かる見積もりを受け取ると比較しやすくなります。
窓の大きさごとの目安や見積書の見方は、内窓リフォームの窓サイズ別費用相場と見積書の確認点で確認できます。
価格だけでなく、得たい効果と工事内容を合わせて比較する
価格を比べるときは、金額だけでなく、何の悩みに対応する仕様かを確認しましょう。
寒さが悩みの窓に日射熱対策だけを重視した仕様を選ぶと、期待した変化を感じにくいことがあります。
防音を求める窓では、ガラス構成だけでなく、既存窓や気密性も比較条件に含める必要があります。
補助金を使う場合も、補助額だけで判断せず、対象製品、追加工事、補助前後の負担額を見比べます。
目的と工事内容がそろった見積もりで判断しましょう。
ポイント
見積もりは「金額の安さ」だけで選ばず、設置する窓・ガラス仕様・工事範囲が同じ条件でそろっているかを必ず確認しましょう。
補助金の対象となる性能や申請条件を確認する
2026年度の先進的窓リノベ2026事業では、対象製品の使用、登録された窓リノベ事業者との契約、既存住宅への工事などが要件です。
内窓は、既存外窓の開口面から屋内側へ50cm以内に平行に設置する条件があります。
補助申請額は合計50,000円以上、1戸あたりの上限は1,000,000円です。
補助額は性能区分、窓のサイズ、建物区分で異なります。
対象期間・対象工事・申請条件は、先進的窓リノベ2026の対象期間・対象工事・補助条件で確認しましょう。
内窓のガラス選びに関するよくある質問

内窓のガラス選びでは、Low-E複層ガラスの使い分け、防音対策、結露軽減で迷いやすい点があります。
仕様名だけで性能を判断せず、窓の方位、音源、室内湿度など、悩みに関わる条件を確認して選びましょう。
Low-E複層ガラスは断熱タイプと遮熱タイプのどちらを選ぶべき?
冬の日差しを取り入れたい窓では断熱タイプ、夏の西日や日射熱を抑えたい窓では遮熱タイプを検討します。
ただし、方位だけで一律に選ぶことはできません。
地域の気候、日当たり、庇、窓の大きさ、周辺建物、冷暖房の使い方によって判断は変わります。
たとえば、午後の西日が強い部屋では遮熱性を重視しやすく、冬に日差しを活かしたい部屋では日射取得との兼ね合いを確認します。
窓ごとの悩みを整理して選ぶことが大切です。
防音を目的にする場合、どのガラスを選べばよい?
防音を目的にする場合は、防音向けの合わせガラスなどを候補にし、音源に合う構成を検討します。
車や電車の低い音、人の声、犬の鳴き声では、気になる音の性質が異なります。
内窓と既存窓の空気層、ガラスの構成、隙間の少なさも遮音性能に関わります。
壁や換気口から伝わる音が残る場合もあるため、窓だけで解決できるかを事前に確認しましょう。
Low-E膜の有無だけでは、防音性能を判断できません。
内窓を設置すれば、どのガラスでも結露を抑えられる?
いいえ。
内窓は結露軽減に役立つ場合がありますが、どのガラスでも結露を抑えられるわけではありません。
結露は、窓の断熱性だけでなく、室内の温度と湿度、換気、窓枠や壁の状態に影響されます。
高断熱仕様を選ぶと室内側の表面温度を保ちやすくなる一方、室内の湿度が高い状態では結露が残ることがあります。
結露が気になる場合は、ガラスの仕様と併せて、換気方法や湿度管理も見直しましょう。
まとめ

- ガラス選びは、断熱・遮熱・防音・防犯・遮視のうち解決したい悩みから絞り込む
- 仕様は既存窓との組み合わせ・窓の条件(方位・取付面・マンションの規約)に合わせて選ぶ
- 2026年度の補助金活用には「登録された窓リノベ事業者」との契約が必須(1戸あたり上限1,000,000円)
内窓のガラスは、どの窓にも同じ仕様が合うわけではありません。
寒さ、日射熱、騒音、防犯、視線の悩みを整理し、既存窓や設置条件を確認したうえで、窓ごとに必要な仕様を選ぶと、比較する条件をそろえやすくなり、無駄のない選択につながります。
ただし、性能値や補助金の条件を正しく踏まえた選択には、現地調査による確認と登録事業者への相談が欠かせません。
補助金は予算上限に達すると受付が締め切られることもあるため、早めの行動が大切です。
制度の期限や申請までの段取りは、先進的窓リノベ2026の申請期限と予算切れ前に進めるポイントでご確認ください。
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